遺言書には、大きく分けて2つの方法があります。
(厳密にはほかにもありますが、利用する機会が少ないため今回は省略します。)
ひとつは、自筆証書遺言です。
自筆証書遺言のメリットは、なんといっても手軽で、費用をかけずに作ることができることです。
とても簡単に言ってしまえば、基本的には100円ショップで売っている紙、封筒、ボールペンなどでも作ることができます。
ただし!
簡単に作れるからこそ、気をつけなければならないポイントがあります。
本文は自分で手書きします
自筆証書遺言は、財産目録を除き、遺言書の全文・日付・氏名を遺言者本人が手書きし、押印する必要があります。
これ、実際に書いてみると結構大変なんですよね。
途中で書き間違えてしまうこともあります。
法律上、決められた方法で訂正することはできますが、私が作成のお手伝いをする場合には、大きな書き間違いなどがあれば、できるだけ書き直していただくことをおすすめしています。
せっかく大切な遺言書を残すのですから、できるだけ分かりやすく、きれいな状態で残したいですよね。
財産目録は手書きじゃなくてもOK!
以前は財産目録も自筆する必要がありましたが、法改正によって、現在は財産目録については自筆でなくてもよくなりました。
Wordなどで作成して印刷しても構いません。
そして、私がおすすめする方法のひとつが、
通帳のコピー
不動産の登記事項証明書のコピー
などを財産目録として利用する方法です。
通帳であれば、銀行名・支店名・口座名義・口座番号など、その預金口座を特定できる部分をコピーします。
残高は日々変動しますから、必ずしも遺言書に現在の残高を書く必要はありません。
ただし、パソコンで作った財産目録やコピーを利用する場合には、その財産目録の各ページに署名・押印が必要です。
ここは忘れないようにしましょう!
日付は絶対に忘れないでください!
そして、とても重要なのが日付です。
「令和○年○月○日」
と、日付を特定できる形で必ず記載してください。
「令和○年○月吉日」
これはダメです!
具体的な日付を特定できないため、自筆証書遺言としての要件を満たさなくなってしまいます。
こういうところが、自筆証書遺言のちょっと怖いところなんですね。
自宅で保管することにもリスクがあります
せっかく遺言書を書いても、自宅で保管していると、
「これは本人の筆跡じゃない!」
と言い出す人が出てくる可能性もあります。
また、火災や震災などによって遺言書が失われてしまったり、そもそも遺言書を見つけてもらえなかったりする可能性もあります。
残念ながら、発見した人によって遺言書を隠されたり、廃棄されたりするリスクも完全には否定できません。
そこで登場したのが、
法務局による「自筆証書遺言書保管制度」
です。
自筆証書遺言書保管制度が便利!
この制度には大きなメリットがあります。
1.法務局が遺言書を保管してくれる
法務局で原本が保管されるため、自宅で保管する場合と違い、紛失や第三者による廃棄・隠匿などの心配を大幅に減らすことができます。
2.手数料が安い!
遺言書1通につき、保管申請手数料は3,900円です。
これは利用しやすい金額ではないでしょうか。
3.死亡後に指定した人へ通知する制度がある
遺言者が希望すれば、あらかじめ指定した方に対して、遺言者が亡くなったことを法務局が確認した際に、遺言書が保管されていることを通知する「指定者通知」という制度があります。
せっかく遺言書を書いても、誰にも存在を知られなければ意味がありません。
その点でも便利な制度です。
4.家庭裁判所の「検認」が不要!
通常、自宅などで保管されていた自筆証書遺言の場合、遺言者が亡くなった後に家庭裁判所で「検認」という手続が必要になります。
ところが、法務局で保管された自筆証書遺言については検認が不要です。
これは相続人にとって、かなり大きなメリットです。
5.形式面をチェックしてもらえる
保管申請の際には、法務局で自筆証書遺言としての形式面について外形的なチェックをしてもらえます。
ただし!
遺言の内容そのものが法的に有効かどうかまで審査してくれるわけではありません。
ここは非常に重要です。
「法務局が預かってくれた=遺言内容についてもすべて問題なし」
という意味ではありません。
本人確認には顔写真付きの身分証明書が必要です
自筆証書遺言書保管制度を利用する際には、法務局で遺言者本人であることを確認するため、顔写真付きの本人確認書類が必要となります。
マイナンバーカードなどの本人確認書類を準備して、遺言者ご本人が法務局で手続きを行います。
「マイナンバーカードを持っていない」という方もいらっしゃると思います。
当事務所では、近隣の方であれば、マイナンバーカードの取得サポートも含めて、自筆証書遺言書保管制度の利用をご支援いたします。
「遺言書を作りたいけれど、何から始めればいいのか分からない」という段階からでも、お気軽にご相談ください。
自筆証書遺言は「書けば終わり」ではありません
自筆証書遺言は、費用を抑えて比較的手軽に作ることができる、とても便利な制度です。
さらに自筆証書遺言書保管制度を利用することで、従来の自筆証書遺言が抱えていた紛失や隠匿、検認などの問題もかなり解消されました。
しかし、遺言書で一番大切なのは、
「自分が希望したとおりに財産を引き継いでもらえる内容になっているか」
ということです。
形式だけ整っていても、内容に問題があれば、せっかく作った遺言書が思ったとおりの結果につながらないこともあります。
遺言書を書いてみたいけれど、
「どう書けばいいのか分からない」
「自筆証書遺言と公正証書遺言、どちらがいいの?」
「法務局の保管制度を使いたい」
という方は、平川行政書士事務所までお気軽にご相談ください。
