【第30回~納骨堂.com】既存建物に納骨堂を新設したい寺院様へ

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納骨堂許可申請で確認したいポイント

「境内にある既存建物を活用して納骨堂を設置したい」

「本堂や会館の一部を改修して、遺骨を収蔵できる場所をつくりたい」

「墓じまいの相談が増えてきたので、寺院として受け皿を整えたい」

このようなことを考えている寺院様もいらっしゃると思います。

既存の建物を利用した納骨堂は、新たに墓地を造成する場合とは異なる選択肢となります。

しかし、

「建物の中に納骨棚を置けば納骨堂になる」

というものではありません。

納骨堂を経営するためには、墓地、埋葬等に関する法律に基づく許可が必要です。

さらに、自治体ごとに定められた条例・規則による構造設備基準や事前手続を確認しながら進めなければなりません。

今回は、既存建物を利用して納骨堂を設置する場合に、どのような点を確認する必要があるのかを見ていきたいと思います。

1.まず確認するのは「この建物で納骨堂ができるのか」

納骨堂を計画するとき、いきなり申請書を書くわけではありません。

まず重要なのは、

「この場所、この建物で納骨堂を設置することができるのか」

という確認です。

東京都の条例を例にすると、納骨堂の設置場所について、原則として経営者が所有する土地であり、寺院・教会等の礼拝施設または火葬場の敷地内であることなどが定められています。

そして、建物についても構造設備基準があります。

東京都の条例では、納骨堂について、

  • 壁、柱、はりその他の主要な部分を耐火構造とすること
  • 床面をコンクリート、タイル、石等の堅固な材料で築造すること
  • 必要な換気設備を設けること
  • 出入口及び窓に防火戸を設けること
  • 出入口及び納骨装置を施錠できる構造とすること

などが定められています。

また、納骨堂の設備には原則として不燃材料を使用することとされています。

ただし東京都条例では、納骨堂内で火気を使用しない場合には、不燃材料について例外規定があります。

ここは非常に重要なところです。

「納骨堂だから、この材料でなければ絶対ダメ」

と一律に判断するのではなく、

その自治体の条例と、実際の使用方法を確認する必要があります。

2.既存建物だからこそ難しい

新築であれば、最初から納骨堂として基準を満たすよう設計することができます。

ところが既存建物の場合はそうはいきません。

例えば、

「この壁はどのような構造なのか」

「この扉は基準を満たす防火戸なのか」

「窓はどうなっているのか」

「換気設備は十分なのか」

「納骨室とそれ以外の部分をどのように区画するのか」

など、一つずつ確認する必要があります。

昔に建てられた寺院の場合、

建築当時の図面が残っていない

ということも珍しくありません。

そのような場合には、現況を確認しながら、建築士や施工業者とも連携して資料を整えていく必要があります。

ここが、既存建物を利用する納骨堂申請の難しいところです。

3.「火気を使わない」という運用も重要

納骨堂をどのように使用するのか。

これも申請では重要になります。

例えば、

納骨室の中では線香やろうそくを使用しない。

参拝や法要は本堂など別の場所で行う。

納骨室は、基本的に焼骨を収蔵する場所として使用する。

このような運用を明確にしておくことがあります。

先ほど触れたように、東京都条例でも、

納骨堂内で火気を使用しない場合

について、不燃材料に関する例外が定められています。

つまり、

建物の構造だけではなく、実際にどう運用するのか

というところまで考える必要があるわけです。

4.図面と写真がとても重要

既存建物を利用する申請では、

図面と現況写真

が非常に重要になります。

行政側は、毎日その寺院を見ているわけではありません。

そのため、

「この部屋を納骨堂にします」

と言葉だけで説明しても、なかなか伝わりません。

例えば、

  • 建物全体の配置
  • 納骨室の位置
  • 出入口
  • 窓
  • 壁
  • 床
  • 天井
  • 換気設備
  • 納骨装置
  • 施錠設備

などを、図面と写真で整理していきます。

写真に番号を付け、

図面上の位置と写真を対応させる

ようにしておくと、非常に分かりやすくなります。

申請書類を作るというより、

「この納骨堂が条例の基準を満たしていることを、行政担当者に分かりやすく説明する資料を作る」

という感覚に近いと思います。

5.建物だけではありません

納骨堂の許可申請では、建物の構造だけを見られるわけではありません。

経営主体である宗教法人についても確認されます。

例えば、

  • 宗教法人規則
  • 登記事項証明書
  • 責任役員会等の意思決定資料
  • 財産目録
  • 収支関係資料
  • 資金計画
  • 預金残高を確認する資料

などを求められることがあります。

つまり行政は、

「建物として安全なのか」

だけでなく、

「この宗教法人が、将来にわたって適切に納骨堂を管理していけるのか」

というところも確認しているわけです。

6.使用規定も重要です

そして、実務上かなり重要なのが、

納骨堂の使用規定

です。

例えば、

  • 誰が使用できるのか
  • 使用期間はどうするのか
  • 管理料はどうするのか
  • 使用者が亡くなった場合はどうするのか
  • 長期間連絡が取れない場合はどうするのか
  • 無縁となった焼骨をどう扱うのか
  • 何年後に合祀するのか

などをあらかじめ定めておく必要があります。

ここは単に許可を取るための書類ではありません。

納骨堂を何十年も運営していくためのルール

です。

ですから、

「とりあえず申請が通ればいい」

という考え方ではなく、実際の寺院運営まで考えて作る必要があります。

7.住民への説明が必要になる場合もあります

納骨堂の新設や変更では、自治体の条例によって、

  • 標識の設置
  • 周辺住民等への説明
  • 説明経過の報告

などの事前手続が求められる場合があります。

誰に説明しなければならないのか。

どの範囲まで調査するのか。

説明会が必要なのか。

個別説明でもよいのか。

これは自治体によって異なります。

したがって、

「100メートル以内なら全国どこでも同じ」

というようなものではありません。

必ず申請先自治体の条例・規則を確認する必要があります。

8.まずは保健所・担当部署との事前協議から

私は納骨堂の許可申請では、

事前協議が非常に重要

だと考えています。

既存建物の場合、

現況と条例の基準を照らし合わせてみないと、必要な改修内容が分かりません。

それなのに、先に工事をしてしまってから、

「この仕様では基準を満たしていません」

となったら大変です。

ですから、

構想整理
↓
現況確認
↓
図面・資料確認
↓
行政との事前協議
↓
必要な改修内容の整理
↓
申請・工事等

というように、行政と確認を取りながら進めていくことが重要です。

建築関係については建築士。

消防関係については消防署や消防設備の専門家。

宗教法人内部の手続については寺院側。

そして許可申請については行政書士。

それぞれの専門家と連携しながら進める案件になります。

まとめ 既存建物の納骨堂化は「事前確認」がすべて

既存建物を利用した納骨堂の許可申請は、

「申請書を作って提出すれば終わり」

という業務ではありません。

むしろ申請書を提出するまでの、

調査・確認・事前協議

に多くの時間を使います。

建物は基準を満たしているのか。

どこを改修する必要があるのか。

納骨棚はどのようなものを使うのか。

火気は使用するのか。

どのような使用規定にするのか。

宗教法人内部の意思決定はできているのか。

財政的に無理のない計画なのか。

一つ一つ整理していく必要があります。

当事務所では、現在、実際の納骨堂許可申請支援を通じて、保健所との協議、使用規定、責任役員会議事録、財務資料、図面・写真資料などの整備を行っています。

「今ある建物を使って納骨堂を設置できないだろうか」

「保健所から補正を求められているが、どう整理したらいいか分からない」

「これから納骨堂を計画したいが、何から始めればいいのか分からない」

そのような寺院様は、まずはご相談ください。

許可申請の前段階から、一つ一つ整理していくことが大切です。