特定行政書士試験まで、あと5日!
昨日に引き続き、今日も「ごっちゃにするとヤバい!」シリーズです。
勉強していると、似たような制度が次々に登場します。
「再調査の請求」と「再審査請求」。
「差止めの訴え」と「執行停止」。
さらに「仮の差止め」まで登場する。
もう、名前を少し変えただけで同じような制度を増やすのはやめてほしい!(笑)
しかし、制度の目的から考えると、意外と整理できるものです。
今日は二つのテーマで考えてみましょう。
1.再調査の請求と再審査請求。どちらも「再」なのに違いすぎる!
まず、行政不服審査法です。
基本となるのは「審査請求」。
そして、法律に特別の定めがある場合には、「再調査の請求」や「再審査請求」という制度も登場します。
ここで重要なのが、審査請求に関する規定の準用です。
準用とは、ある制度について定めた規定を、必要な読み替えなどをして別の制度にも適用すること。
しかし、何でもかんでも準用されるわけではありません。
再調査の請求は、使う規定を選んで準用!
再調査の請求は、処分をした行政庁自身に、もう一度見直してもらう制度です。
そのため、審査請求ほど本格的な審理手続を予定していません。
行政不服審査法61条では、審査請求の規定のうち、準用するものを個別に列挙しています。
例えば、口頭意見陳述や証拠書類等の提出に関する規定は、一定の形で準用されます。
一方、審理員による審理手続や、物件の提出要求、参考人の陳述・鑑定、検証などの規定は、同じようには準用されません。
つまり、再調査の請求は、審査請求の簡易版と考えると理解しやすい。
再審査請求は、原則として審査請求の規定を広く準用!
これに対して、再審査請求は、審査請求の裁決を受けた後、法律に特別の定めがある場合に、さらに別の審査庁へ審査を求める制度です。
行政不服審査法66条では、審査請求の規定を広く準用しつつ、適用しない規定を除外しています。
したがって、再審査請求では、原則として審理員による審理手続が行われ、物件の提出要求などの審理手続も利用できます。
ただし、行政不服審査会等への諮問は、再審査請求には準用されません。
ここが試験で混乱するところです。
| 手続 | 再調査の請求 | 再審査請求 |
|---|---|---|
| 口頭意見陳述(31条) | あり | あり |
| 証拠書類等の提出(32条) | あり | あり |
| 物件の提出要求(33条) | 準用なし | 準用あり |
| 参考人の陳述・鑑定(34条) | 準用なし | 準用あり |
| 検証(35条) | 準用なし | 準用あり |
覚え方は、
「どっちも 口頭意見陳述 と 証拠書類等の提出 まではバッチリやる その後は 調査はショートカット 審査は審査する」
そして、昨日の復習。
「諮問は『再』なら無し!」
ただし、個別法の特別な制度や例外は別途確認が必要です。
2.「法律上の利益」と「事実上の利益」
ここから行政事件訴訟法です。
取消訴訟を提起できるのは、処分の取消しを求めることについて法律上の利益を有する者です(9条1項)。
例えば、近所に大きな施設が建設されるとします。
「景色が悪くなるから嫌だ!」
そう思うこと自体は自然です。
しかし、それだけで直ちに取消訴訟を提起できるとは限りません。
重要なのは、その利益が、関係法令によって個別的利益として保護されているかどうかです。
行政事件訴訟法9条2項は、処分の根拠法令の文言だけでなく、関係法令の趣旨・目的、侵害される利益の内容・性質なども考慮するよう定めています。
つまり、
「困ってるだけじゃダメ」=事実上の利益だけじゃ足りない!
しかし、
「処分の名宛人でなければ絶対に訴えられない」わけでもない。
ここがポイントです。
「法律上の利益」は、単に本人が困っているという事実上の利益とは区別されます。
3.差止めの訴えは「まだ処分していないから、するな!」
行政事件訴訟法には「差止めの訴え」があります(3条7項、37条の4)。
これは、行政庁がこれから一定の処分や裁決をしようとしている場合に、その処分等をしてはならないと求める訴訟です。
つまり処分前です!
例えば、
「このままでは、近いうちに違法な営業停止処分を受けてしまう!」
という場合。
まだ処分は出ていません。
だから、
「その処分、出さないでください!」
と裁判所に求める。
これが差止めの訴えです。
ただし、簡単に認められるわけではありません。
重大な損害を生ずるおそれがあることなどが必要で、他に適当な方法がある場合には提起できません。
この「他に適当な方法がないこと」を、補充性といいます。
4.執行停止は「もう処分したから、いったん止めて!」
一方、執行停止はどうでしょうか。
こちらは、すでに処分が行われた場合の制度です(行政事件訴訟法25条)。
つまり処分後。
例えば、
「営業停止処分を受けた! 取消訴訟を起こすけれど、判決が出るまで営業できなければ会社がつぶれてしまう!」
そんな場合に、裁判所に対して、処分の効力や執行などを一時的に止めるよう申し立てる制度です。
差止めは処分前。執行停止は処分後。
この違いは明確ですね。
なお、執行停止は取消訴訟の提起が前提で、重大な損害を避けるため緊急の必要があることなどが求められます。
5.じゃあ「仮の差止め」って何なの?
ここで、さらに登場するのが「仮の差止め」です(37条の5第2項)。
差止めの訴えを起こしたとしても、判決が出るまでには時間がかかります。
その間に行政庁が処分をしてしまったら、どうなるでしょうか。
「処分しないでください」という訴訟をしているのに、判決前に処分されてしまう。
それでは間に合わない!
そこで、差止めの訴えについて判決が出るまでの間、暫定的に処分を禁止する制度が「仮の差止め」です。
ただし、こちらも重大な損害を避けるため緊急の必要があること、本案について理由があるとみえることなど、厳しい要件があります。
整理すると、
| 制度 | いつ使う? | 何を求める? |
|---|---|---|
| 差止めの訴え | 処分前 | 将来の処分等を禁止する判決 |
| 仮の差止め | 処分前・差止め訴訟の係属中 | 判決まで暫定的に処分等を禁止する決定 |
| 執行停止 | 処分後 | 処分の効力・執行等を一時的に停止する決定 |
「差止めは本番。仮の差止めは本番までのつなぎ。執行停止は処分が出た後!」
6.差止めがあるなら一安心……と思ったら、えっ???
差止めの訴えという制度がある。
まだ処分されていない段階で、
「その処分、しないでください!」
と裁判所に訴えられる。
なるほど! これなら将来に備えられる。一安心!
……と思ったら、そう簡単にはいかないらしい。
なんと、差止めの訴えには「補充性」という要件があるんです。
つまり、
「処分が出てから取消訴訟を起こして、執行停止を申し立てれば十分に救済できるんじゃないの?」
という話になるわけです。
えっ?????
せっかく処分前に止められる制度があるのに、処分されるまで待たなきゃいけないの?!
でも、ここが大事。
処分を受けてから争ったのでは、もう取り返しのつかないことになってしまう。
取消訴訟と執行停止では、十分に救済できない。
そんな場合には、差止めの訴えが認められる余地があるんです。
つまり、
「差止めという制度があるから、気軽に将来の処分を止めてもらおう!」
というわけにはいかない。
でも、
「処分されてからでは遅いんです!」
という場合には、処分前の救済が必要になる。
なるほど。
差止めの訴えは、将来の不安を何でも解消してくれる制度ではなく、事後的な救済では十分でない場合に備えた制度なんですね。
ちなみに、差止めの訴えには、補充性だけでなく「重大な損害を生ずるおそれ」などの要件もあります。
いやぁ、法律って、なかなか簡単には使わせてくれませんね(笑)。
今日の覚え方
「差止めは最後の手段。でも、処分されてからでは遅いなら、出番あり!」
7.今日のまとめ!
今日は、似ている制度を二つの方向から整理しました。
まず、行政不服審査法。
「再調査は選択的に準用。再審査は広く準用して一部除外!」
次に、行政事件訴訟法。
「処分前なら差止め。判決まで待てなければ仮の差止め。処分後なら執行停止!」
そして、
「差止めは、取消訴訟+執行停止できるなら使わせないよ でもそれじゃヤバいなら使えるけどね」
こうして横断的に整理すると、似た名前の制度も、それぞれ役割が違うことがわかってきます。
特定行政書士試験まで、あと5日。
全部を丸暗記しようとすると、頭の中が大渋滞します(笑)。
でも、「誰が」「いつ」「何のために」使う制度なのかを考えると、少しずつ道が見えてきます。
残り5日。今日も一歩ずつ、頑張りましょう!
