特定行政書士試験まで、あと2日!
今日は「要件事実」に挑戦してみたいと思います。
正直に言います。
私は最初、「請求原因」「否認」「抗弁」「再抗弁」の違いが、よく分かりませんでした。
特に、否認と抗弁。
どちらも相手の主張に反論しているのだから、何が違うんだろう?
でも、何問も解いているうちに、少しずつ分かってきた気がします。
今日は、その経験を生かして、要件事実の問題を作ってみました。
まずは10本ノック!
そして最後に、売買代金支払請求と建物明渡請求の事例問題に挑戦します。
第1部 これは否認? 抗弁? 10本ノック!
まず、基本を確認しましょう。
請求原因
原告の請求を法律上理由付けるために必要な事実。
否認
相手が主張する要件事実そのものを否定すること。
抗弁
相手の主張を前提としても、その法律効果を妨げる別の事実を主張すること。
再抗弁
抗弁による法律効果を妨げる事実を主張すること。
なお、抗弁を主張する際に、相手の主張をすべて認める必要があるわけではありません。
それでは、ノック開始!
⚾ 第1球
A「Bに車を150万円で売った。代金を払え!」
B「いや、そんな売買契約はしていない!」
Bの主張は?
① 否認 ② 抗弁
⚾ 第2球
A「Bに車を150万円で売った。代金を払え!」
B「確かに買った。でも、150万円はもう支払った!」
Bの主張は?
① 否認 ② 抗弁
⚾ 第3球
A「車を150万円で売った!」
B「違う! 100万円で合意したんだ!」
Bの主張は?
① 否認 ② 抗弁
⚾ 第4球
A「車を150万円で売った。代金を払え!」
B「契約したのは事実。でも、Aに脅されて契約したから、取り消した!」
Bの主張は?
① 否認 ② 抗弁
⚾ 第5球
A「俺の建物をBが占有している。明け渡せ!」
B「そもそも、俺はその建物を占有していない!」
Bの主張は?
① 否認 ② 抗弁
⚾ 第6球
A「俺の建物をBが占有している。明け渡せ!」
B「確かに占有している。でも、Aから借りているんだ!」
Bの主張は?
① 否認 ② 抗弁
⚾ 第7球
A「俺の建物を明け渡せ!」
B「Aから借りているんだ!」
A「確かに貸した。でも、その後、合意解除した!」
最後のAの主張は?
① 否認 ② 再抗弁
⚾ 第8球
A「俺の建物を明け渡せ!」
B「Aから借りているんだ!」
A「お前に貸したことなんか一度もない!」
最後のAの主張は?
① 否認 ② 再抗弁
⚾ 第9球
A「車を150万円で売った。代金を払え!」
B「確かに買った。でも、俺もAに150万円を貸している。その貸金債権を使って相殺する!」
※相殺の要件は満たしているものとします。
Bの主張は?
① 否認 ② 抗弁
⚾ 第10球
A「車を150万円で売った。代金を払え!」
B「俺もAに150万円を貸しているから、相殺する!」
A「確かに借りた。でも、その借金はBが相殺する前に全額返済した!」
最後のAの主張は?
① 否認 ② 再抗弁
さて、10本終了!
いかがでしたでしょうか?
私は、このような問題を何度も繰り返して、ようやく違いが分かってきました。
特に重要なのは、
「何番目に発言したか」で決まるわけではない!
ということです。
3番目に発言したから再抗弁。
4番目だから再々抗弁。
そんな単純な話ではないんですね。
相手が主張する事実そのものを否定しているのか。
それとも、新たな事実によって法律効果を妨げようとしているのか。
ここを考えることが大切です。
第2部 事例問題に挑戦!
今度は少し本格的な問題です。
文章を読んで、各設問に○か×で答えてください。
事例問題① 売買契約に基づく代金支払請求
【事例】
Aは、所有する中古自動車をBに売却することにしました。
2026年8月1日、AとBは、自動車を代金150万円で売買する契約を締結しました。
代金の支払期限は8月31日です。
Aは8月10日に自動車をBに引き渡しました。
しかし、Bは支払期限を過ぎても代金を支払いませんでした。
そこでAは、Bに対して売買契約に基づく代金150万円の支払請求訴訟を提起しました。
次の記述について、○か×で答えてください。
問題①
Aが代金150万円を請求するためには、原則として、自動車を150万円で売買する合意をした事実が請求原因となる。
問題②
Aが代金を請求するためには、自動車をBに引き渡した事実を、必ず請求原因として主張・立証しなければならない。
問題③
Bが「代金150万円はすでに支払った」と主張することは、弁済の抗弁に当たる。
問題④
Bが同時履行の抗弁を主張した場合、Aが「自動車はすでに引き渡した」と主張することは、再抗弁となり得る。
事例問題② 所有権に基づく建物明渡請求
【事例】
Aは、東京都八王子市に所在する甲建物を所有しています。
2025年4月1日、AはBに対して、甲建物を月額10万円で賃貸しました。
Bは建物の引渡しを受け、現在も甲建物を占有しています。
ところが、Bは2026年7月分から9月分まで、3か月分の賃料を支払いませんでした。
Aは、相当期間を定めて支払いを催告しましたが、Bはその期間内に支払いませんでした。
そこでAは、賃貸借契約を解除する旨の意思表示をしました。
しかし、Bは建物を明け渡しません。
Aは、Bに対して、所有権に基づく甲建物の明渡請求訴訟を提起しました。
次の記述について、○か×で答えてください。
問題⑤
所有権に基づく建物明渡請求では、Aの所有権とBの占有が基本的な請求原因となる。
問題⑥
Bが「私は甲建物を占有していない」と主張することは、占有権原の抗弁に当たる。
問題⑦
Bが「Aから建物を借りている」と主張し、有効な賃借権に基づいて占有している事実を示すことは、占有権原の抗弁に当たる。
問題⑧
Bが賃借権の抗弁を主張した場合、Aが「賃料不払いを理由に賃貸借契約を適法に解除した」と主張することは、再抗弁となり得る。
解答と解説
まずは自分で解いてから確認してください!
10本ノックの答え
| 問題 | 正解 | 理由 |
|---|---|---|
| 第1球 | ① 否認 | 売買契約の成立そのものを否定 |
| 第2球 | ② 抗弁 | 弁済による債権の消滅 |
| 第3球 | ① 否認 | 150万円の代金合意を否定 |
| 第4球 | ② 抗弁 | 強迫による取消し |
| 第5球 | ① 否認 | 占有の事実そのものを否定 |
| 第6球 | ② 抗弁 | 賃借権という占有権原 |
| 第7球 | ② 再抗弁 | 合意解除による賃借権の消滅 |
| 第8球 | ① 否認 | 賃貸借契約の成立を否定 |
| 第9球 | ② 抗弁 | 相殺による債務の消滅 |
| 第10球 | ② 再抗弁 | 相殺に使う貸金債権が弁済で消滅 |
事例問題の答え
| 問題 | 正解 | ポイント |
|---|---|---|
| ① | ○ | 売買契約の成立が請求原因 |
| ② | × | 引渡しは原則として請求原因ではない |
| ③ | ○ | 弁済の抗弁 |
| ④ | ○ | 履行済みの再抗弁 |
| ⑤ | ○ | 所有権と占有が基本 |
| ⑥ | × | 占有そのものの否認 |
| ⑦ | ○ | 賃借権の抗弁 |
| ⑧ | ○ | 解除の再抗弁 |
最後に
今日の問題、何問正解できましたか?
私は、最初は本当に分かりませんでした。
特に、
「もう支払った!」
これがなぜ否認ではなく抗弁なのか。
「契約したけど取り消した!」
これがなぜ抗弁なのか。
そして、
「借りていたけど、その後解除した!」
これがなぜ再抗弁なのか。
何度も間違えながら、ようやく少しずつ理解できるようになりました。
要件事実で大切なのは、単に相手の主張に反対しているかどうかではありません。
請求原因によって権利が発生する。
抗弁によって、その法律効果が妨げられる。
再抗弁によって、抗弁の法律効果が妨げられる。
そして、
否認は、相手の主張する事実そのものを否定すること。
この違いを頭に入れておきたいと思います。
特定行政書士試験まで、あと2日!
最後まで諦めず、一問でも多く正解できるように頑張りましょう!
受験される皆さん、一緒に頑張りましょう!
