【育成就労制度②】知らなかったでは済まされない!外国人雇用で注意したい法令遵守のポイント

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昨日のブログでは、2027年4月1日からスタートする「育成就労制度」について、従来の技能実習制度との違いや、経過措置の期限についてご紹介しました。

今回はその続編です。

外国人材を受け入れている企業や監理団体にとって、特に重要となる「法令遵守(コンプライアンス)」について考えてみたいと思います。

外国人雇用に関するルールは、入管法だけではありません。

技能実習法、労働基準法、労働安全衛生法など、さまざまな法律が関係しています。

そして、これらの法律に違反した場合、単に注意を受けるだけで済むとは限りません。

技能実習計画の認定取消しや監理団体の許可取消し、さらには刑事罰につながる可能性もあります。

「これくらいは大丈夫だろう」

「今までもこうしてきたから問題ない」

このような思い込みが、思わぬトラブルにつながることもあるのです。

今回は、外国人雇用の現場で確認しておきたい実務上のポイントをまとめてみました。

1.在留資格と実際の仕事内容は一致していますか?

まず注意したいのが、外国人の在留資格と実際の業務内容の関係です。

例えば、在留資格「技術・人文知識・国際業務」。

いわゆる「技人国」と呼ばれる在留資格です。

この在留資格では、専門的な技術や知識を必要とする業務などに従事することが認められています。

しかし、専門業務に従事するということで採用した外国人が、実際には単純作業ばかり行っていたらどうでしょうか。

例えば、技術者として採用したにもかかわらず、実際には専門的な知識を必要としない工場のライン作業だけを担当しているような場合です。

このようなケースでは、在留資格で認められた活動の範囲を超えている可能性があります。

もちろん、専門業務に付随する作業が一切認められないというわけではありません。

実際の業務内容や従事する割合、業務の専門性などを踏まえて判断する必要があります。

ここで大切なのは、雇用契約書に書かれている仕事内容と、実際に行っている仕事が一致しているかということです。

派遣会社を通じて外国人材を受け入れている場合にも、派遣元任せにするのではなく、受入先における実際の業務内容を確認することが重要です。

2.「知らなかった」では済まされない不法就労助長罪

次に、不法就労助長罪についてです。

外国人が在留資格で認められていない活動を行っていた場合、外国人本人だけではなく、働かせていた事業主側も処罰の対象となる可能性があります。

ここで注意したいのは、事業主が不法就労であることを知らなかった場合です。

「本人が大丈夫だと言っていた」

「派遣会社が紹介してくれたので問題ないと思った」

このような事情があったとしても、それだけで責任を免れるわけではありません。

例えば、在留カードの確認を怠るなど、不法就労の事実を知らなかったことについて過失がある場合には、処罰を免れないことがあります。

そして、不法就労助長罪の罰則は、2027年4月1日から厳罰化されます。

現在の罰則の上限は、

3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金等

ですが、2027年4月1日以降は、

5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金等

へ引き上げられます。

外国人材を雇用する企業にとって、在留資格の確認はもちろん、実際の就労内容が認められた活動の範囲内であるかを確認することが不可欠です。

3.技能実習計画と実際の作業内容は一致していますか?

技能実習制度では、認定された技能実習計画に従って実習を実施する必要があります。

特に注意したいのが、必須業務、関連業務、周辺業務の割合です。

移行対象職種・作業については、原則として必須業務が年間の実習時間全体の2分の1以上を占める必要があります。

例えば、年間の実習時間が2,000時間であれば、必須業務を少なくとも1,000時間実施する必要があるということです。

また、技能実習日誌の記載内容も重要です。

技能実習日誌には、実際に従事した業務や指導内容を具体的に記録することが求められます。

認定された技能実習計画では必須業務を行うことになっているのに、実際には周辺業務ばかり行っている。

あるいは、日誌には計画どおりの作業を記載しているものの、現場では違う作業をしている。

こうした状況は問題となります。

大切なのは、書類を整えることだけではありません。

計画、日誌、そして現場の実態が一致していること。

監理団体も受入企業も、この点を継続的に確認する必要があります。

4.入国後講習中に現場作業をさせていませんか?

技能実習生は、入国後、一定の講習を受ける必要があります。

この入国後講習では、日本語や日本での生活に関する知識、法的保護に必要な情報などを学びます。

ここで重要なのは、入国後講習と実際の技能実習を区別することです。

入国後講習期間中に、受入企業で実際の業務に従事させることは認められていません。

例えば、

「現場の雰囲気を覚えてもらうために、少しだけ作業を手伝ってもらおう」

というケースです。

たとえ短時間であっても、講習期間中に実際の就労をさせることは問題となります。

講習期間中は講習に専念させ、技能実習の開始後に認定された計画に沿って業務を行わせる。

この基本的なルールを徹底することが必要です。

5.パスポートや在留カードを会社で保管していませんか?

外国人材の権利保護という観点から、特に重要な問題です。

技能実習法第48条では、実習実施者や監理団体等が技能実習生のパスポートや在留カードを保管することを禁止しています。

「紛失すると困るから会社で預かっておこう」

「本人が希望しているから組合で管理しよう」

このような場合でも、安易に保管することは認められません。

本人の同意があれば何でも許されるというわけではないのです。

パスポートや在留カードは、外国人本人にとって非常に重要な書類です。

本人が自由に管理し、必要なときに使用できる環境を整える必要があります。

外国人材の権利を守ることは、適正な受入れの基本だと思います。

6.技能実習生が途中帰国する場合の手続き

技能実習生が、技能実習期間の途中で帰国を希望することもあります。

例えば、家庭の事情や体調の問題などです。

このような場合にも、必要な手続きを確認しなければなりません。

技能実習の継続が困難となった場合には、原則として技能実習実施困難時届出が必要です。

団体監理型の場合は、実習実施者が監理団体へ通知し、監理団体が外国人技能実習機構へ届出を行います。

また、技能実習生が期間満了前に帰国する場合には、本人の意思を十分に確認する必要があります。

特に注意したいのは、途中帰国の方針が決まった場合、原則として帰国前に必要な届出を行うことです。

ただし、帰国便の都合や有給休暇のまとめ取りなど、やむを得ない事情があり、所定の意思確認等を行った場合には、届出が不要となるケースもあります。

帰国することになったから、航空券を手配して送り出せば終わり。

そういうわけではないのです。

外国人本人の意思を尊重し、必要な手続きを適切に行うことが重要です。

7.費用負担や帳簿管理にも注意が必要

外国人材の受入れでは、費用負担についても注意が必要です。

例えば、技能実習生に対して、本来負担させることが認められていない費用を徴収していないか。

居住費などについて、適正な金額が設定されているか。

送出機関との間で不透明な金銭の授受が行われていないか。

こうした点も確認が必要です。

また、賃金台帳や出勤簿、技能実習日誌などの帳簿書類についても、適切な作成・保存が求められます。

ここでも重要なのは、書類と実態の一致です。

例えば、賃金台帳では適正な賃金が支払われていることになっていても、実際の労働時間と一致していなければ問題になります。

労働時間、賃金、実習内容などを正確に把握し、適切に記録することが大切です。

8.法令遵守は事業を守ることにもつながる

ここまで、外国人雇用や技能実習の現場で注意したいポイントを見てきました。

少し怖い話が続いてしまいましたね。

しかし、私が重要だと思うのは、法令違反を恐れることだけではありません。

外国人材が安心して働ける環境を整えること。

受入企業が安心して事業を継続できること。

そして、監理団体が適正な監理を行い、社会から信頼されること。

法令遵守は、そのための基本なのだと思います。

2027年4月から始まる育成就労制度でも、外国人材の育成と権利保護、適正な制度運用が重要となります。

制度が大きく変わる今こそ、これまでの運用を見直す良い機会ではないでしょうか。

まとめ:今こそ現場と書類の総点検を!

外国人雇用に関する法令遵守は、在留資格の確認だけではありません。

実際の業務内容、労働条件、技能実習計画、実習日誌、費用負担、外国人本人の権利保護など、確認すべき事項は多岐にわたります。

「書類が揃っているから大丈夫」

ではなく、

「書類に書かれていることが、現場で本当に行われているか」

ここを確認することが重要です。

平川行政書士事務所では、外国人の在留資格に関する申請取次をはじめ、外国人材の適正な受入れに関する各種手続きのご相談を承っております。

制度の移行期だからこそ、正しい知識を身につけ、早めに準備を進めていきたいものです。

次回予告

明日は3日連続シリーズの最終回です。

【育成就労制度③】監理支援機関の「外部監査人」とは?行政書士が担う新たな役割

新たな育成就労制度で重要となる外部監査人の役割や、監理支援機関の許可基準について解説したいと思います。

また、平川行政書士事務所として、今後この分野にどのように取り組んでいきたいかについてもお伝えします。

どうぞお楽しみに!


平川行政書士事務所

東京都八王子市

※本記事は2026年10月時点の法令・行政機関の公表資料に基づいて作成しています。個別の手続きについては、最新の法令・運用要領をご確認ください。

参考資料

  • 出入国在留管理庁「在留資格『技術・人文知識・国際業務』」
  • 外国人技能実習機構「技能実習実施困難時の届出」
  • 厚生労働省「技能実習制度運用要領」
  • 公益財団法人国際人材協力機構(JITCO)「技能実習制度の職種・作業について」