【育成就労制度③】監理支援機関の「外部監査人」とは?行政書士が担う新たな役割

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3日連続でお届けしている育成就労制度シリーズも、今回が最終回となりました。

第1回では、技能実習制度から育成就労制度への移行と経過措置について。

第2回では、外国人雇用における法令遵守(コンプライアンス)の重要性について解説しました。

そして今回は、新たな育成就労制度において重要な役割を担う**「外部監査人」**について取り上げたいと思います。

実は、私自身も行政書士として、この外部監査業務に積極的に取り組んでいきたいと考えています。

1.「監理団体」から「監理支援機関」へ

2027年4月1日から始まる育成就労制度では、これまでの技能実習制度における「監理団体」に代わり、「監理支援機関」が外国人材の受入れを支援することになります。

監理支援機関は、育成就労実施者(受入企業)に対して必要な指導や監査を行い、外国人材の適正な育成就労を支援する組織です。

ただし、現在、監理団体として活動している組織が、自動的に監理支援機関になれるわけではありません。

新制度に対応した許可を取得する必要があります。

そして、その許可基準は従来よりも厳格になります。

例えば、次のような基準があります。

  • 外部監査人を設置すること
  • 原則として2者以上の受入企業に対して監理支援を行うこと
  • 監理支援の実務を担当する常勤役職員を2人以上配置すること
  • 受入企業数や育成就労外国人数に応じた職員配置基準を満たすこと
  • 債務超過の状態にないこと

職員配置についても、受入企業数を8で割った数、育成就労外国人数を40で割った数を、それぞれ担当する常勤役職員数が上回る必要があります。

例えば、受入企業が10社で、育成就労外国人が50人の場合、人数面では常勤役職員2人以上が必要となります。

このように、新たな監理支援機関には、より充実した組織体制が求められることになります。

2.そもそも「外部監査人」とは何をする人なのか?

では、外部監査人とは、具体的にどのような仕事をするのでしょうか。

監理支援機関は、受入企業が適正に育成就労を行っているかを監査・指導する立場にあります。

しかし、その監理支援機関自身が適正に業務を行っているかどうかは、誰が確認するのでしょうか。

そこで登場するのが、外部監査人です。

外部監査人は、監理支援機関の役員による監理支援事業に関する職務の執行について、第三者の立場から監査を行います。

つまり、監理支援機関を監査する人というわけです。

監理支援機関が受入企業に対して適切な監査や指導を行っているか。

必要な帳簿や書類が適切に整備されているか。

外国人材の保護に関する取組みが適正に行われているか。

こうした事項を、客観的な立場から確認していきます。

監理支援機関の内部だけでチェックするのではなく、外部の目を入れることによって、業務の透明性と適正性を確保することが目的です。

3.外部監査人は、どのように監査を行うのか?

外部監査人には、定期的な監査が求められます。

具体的には、監理支援機関の各事業所について、原則として3か月に1回以上、業務の遂行状況を確認します。

また、監理支援機関が受入企業に対して行う監査にも、各事業所につき1年に1回以上同行し、監査の実施状況を確認します。

そして、確認した結果を記載した書類を作成し、監理支援機関へ提出します。

つまり、単に年に一度、書類に目を通せばよいというものではありません。

定期的な確認と、実際の監査への同行が必要になるのです。

ここで重要になるのは、書類と実際の運用の整合性です。

第2回のブログでも触れましたが、法令遵守において大切なのは、書類が整っていることだけではありません。

「書類に記載されていることが、実際に行われているか」

この点を確認することが、外部監査においても重要になります。

なお、外部監査人は行政機関の検査官ではありません。監理支援機関に代わって業務を指揮する立場でもありません。

独立した第三者として、適切に監査を行い、必要な指摘をする役割を担います。

4.外部監査人には誰がなれるのか?

新たな育成就労制度では、外部監査人にも一定の要件が設けられています。

外部監査人となることができる者には、

  • 弁護士
  • 社会保険労務士
  • 行政書士
  • その他、育成就労に関する専門的知見を有する者

などが含まれます。

ただし、資格を持っていれば誰でも直ちに就任できるというわけではありません。

所定の養成講習を修了していることや、監理支援機関・受入企業との独立性が確保されていること、欠格事由に該当しないことなどが必要です。

特に重要なのが「独立性」です。

例えば、監査対象となる監理支援機関の役員や職員が、自分たちの組織を外部監査することはできません。

また、監理支援を受ける企業と密接な関係がある場合にも、外部監査人になれないことがあります。

監査する側と監査される側が密接な関係にあれば、客観的な判断が難しくなるからです。

外部監査人には、専門知識だけでなく、公正で独立した立場が求められるのです。

5.行政書士が外部監査人として果たせる役割

行政書士の仕事というと、許認可申請や在留資格の申請書類を作成する仕事を思い浮かべる方が多いかもしれません。

しかし、行政書士が専門性を発揮できるのは、申請書類の作成だけではありません。

関係法令を理解し、事業者が適正に制度を利用できるよう支援することも重要な役割の一つだと考えています。

育成就労制度では、入管法や育成就労法だけでなく、労働関係法令など、さまざまな法律が関係します。

また、監査を行うためには、制度を理解することに加え、実際の業務の流れや現場の状況を把握することも重要になります。

外部監査人は、ただ不備を見つけるためだけの存在ではありません。

問題があれば適切に指摘し、監理支援機関による改善につなげていく。

そして、法令遵守を徹底することで、外国人材の権利を守り、適正な受入れを支える。

そのような役割を果たすことが期待されています。

これは、行政書士として取り組む意義のある仕事だと思います。

6.平川行政書士事務所も外部監査業務に取り組みます

私自身、行政書士として、外国人の在留資格に関する申請取次業務に携わっています。

そして今後は、監理団体・監理支援機関の外部監査業務にも取り組んでいきたいと考えています。

そのための準備として、監理責任者等を対象とした所定の養成講習も受講しました。

育成就労制度では、経過措置により、施行前に修了した技能実習制度の所定の養成講習が、新制度の外部監査人に必要な講習として認められる仕組みも設けられています。

もちろん、講習を受講しただけで、外部監査の仕事ができるようになるわけではありません。

監査対象との独立性などの要件を満たし、実際の監査を適切に行うための知識や能力を身につける必要があります。

私自身、まだまだ勉強すべきことはたくさんあります。

しかし、外国人材を適正に受け入れるための仕組みづくりに、行政書士として関わっていけることは、大変意義のあることだと考えています。

今後も知識を深め、外部監査業務に必要な体制を整えていきたいと思っています。

まとめ:外国人材を守ることは、受入企業を守ることにもつながる

3日間にわたり、育成就労制度についてご紹介してきました。

第1回では制度の移行と経過措置。

第2回では外国人雇用における法令遵守。

そして今回は、監理支援機関の外部監査人について解説しました。

制度の移行に伴い、監理団体や受入企業の皆様には、さまざまな準備が求められます。

しかし、制度が変わっても、大切なことは変わらないと思います。

それは、外国人材の権利を守り、安心して働ける環境を整えること。

そして、受入企業が法令を遵守し、安心して事業を継続できること。

その両方を実現するために、監理支援機関や外部監査人の役割が重要になります。

平川行政書士事務所では、在留資格に関する申請取次をはじめ、外国人材の適正な受入れに関する各種手続きのご相談を承っております。

また、監理団体・監理支援機関の外部監査業務についても、積極的に取り組んでまいります。

監理支援機関への移行準備や外部監査人の選任について、ご相談がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。

3日間、お読みいただきありがとうございました!


平川行政書士事務所

東京都八王子市

※本記事は2026年10月時点の公表法令・行政機関の資料をもとに作成しています。個別の手続きや外部監査人の選任については、最新の法令・運用要領等をご確認ください。

参考資料

  • 出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」
  • 出入国在留管理庁「育成就労制度運用要領」
  • 外国人技能実習機構「監理支援機関の許可申請に関する案内」
  • 育成就労法施行規則第47条(外部監査人)