産業廃棄物収集運搬業の許可申請には、
「先行許可制度」
という制度があります。
名前だけ聞くと、
「先に許可を取れる制度?」
と思ってしまいそうですが、そういう意味ではありません。
簡単にいうと、
すでに取得している別の産廃許可を利用して、今回の許可申請で一部の添付書類を省略できる制度
です。
自治体によって取扱いが異なりますので、申請先ごとの確認が必要です。
今回は、いつものように東京都の先行許可制度を見ていきましょう。
例えば、こんな場合です
これから東京都で産業廃棄物収集運搬業の許可を申請するとします。
その会社はすでに、少し前に別の自治体で産業廃棄物収集運搬業の許可を取っていました。
その許可を取ったときには、役員の住民票など、法令で求められる書類をすべて提出して審査を受けています。
そこで東京都への申請時に、
「この前、別の自治体で必要書類を全部提出して審査を受けていますよ」
ということを、先に取得した許可証を使って示すわけです。
一定の条件を満たす許可証を提示することで、今回の申請で必要な添付書類の一部を省略できます。
これが、
先行許可制度
です。
では、何が省略できるの?
東京都の場合、先行許可制度を利用すると、次の書類を省略できます。
1.誓約書
2.住民票抄本
※申請者が法人の場合のみ省略できます。
3.成年被後見人等に該当しない旨の登記事項証明書等
いわゆる「ないこと証明」です。
4.5%以上の法人株主・出資者の登記事項証明書
以上です。
……どうでしょう。
正直なところ、
「ものすごく大量の書類が省略できる!」
というほどではありません。
ただ、役員が多い会社などでは住民票等を集めるだけでも手間がかかります。
それが省略できるだけでも、
幾分、申請は楽になります。
特に遠方に住んでいる役員がいる場合などはありがたい制度です。
ただし、先行許可証を取得した後に新しく追加された役員や株主などについては、原則としてその人の書類までは省略できません。
また、申請法人自身の履歴事項全部証明書は省略できません。
どんな許可証でも使えるわけではありません
ここが重要です。
許可証の一番下の方を見ると、
「規則第○条の○第○項の規定による許可証の提出の有無」
という欄があります。
ここが、
「無」
になっている許可証。
これが先行許可証として使える許可証です。
なぜ「無」なのでしょうか。
これは、
その許可を取ったときに、別の先行許可証を使って書類を省略していない
という意味です。
つまり、その許可を取得したときには必要な書類を全部提出して審査を受けている。
だから、その許可証を次の申請で先行許可証として使うことができるわけです。
反対に、
「有」
となっている許可証は、その許可を取得したときにすでに先行許可制度を利用しています。
したがって、その許可証をさらに次の申請で先行許可証として利用することはできません。
私は、
「先行許可の連続使用はできない」
と覚えると分かりやすいと思います。
先行許可証として利用できる期間は、原則として、
許可証に記載された許可年月日から5年間
です。
ですから、
「他県の許可証があります」
というだけでは足りません。
まず、
許可年月日
を確認する。
そして、
許可証の一番下が「無」になっているか
を確認する。
この2点は必ずチェックしたいところです。
許可証のコピーにも注意!
さらに実務上、大切なポイントがあります。
東京都へ提出する先行許可証の写しには、
「この写しは原本と相違ないことを証明する」
という旨を記載しなければなりません。
そして、その下に、
申請者である会社名
代表者名
を記載します。
単純に許可証をコピーして添付すればいい、というわけではありません。
ここは忘れやすいところです。
予約するときにも伝えておきます
そしてもう一つ。
東京都で先行許可制度を利用する場合は、
申請予約の際に、あらかじめ「先行許可制度を利用します」と伝えておく必要があります。
申請当日になって突然、
「そういえば先行許可を使います」
ではなく、
予約の段階から伝えておく
ということですね。
当日は、
先行許可に係る申請書の第1面~第3面の写し
と、
原本証明をした先行許可証の写し
を持参します。
便利だけれど、劇的ではない?
先行許可制度。
確かに便利です。
ただ、省略できる書類を見ると、
「これだけ?」
と思う方もいるかもしれません。
ものすごく大量の書類がなくなるわけではありません。
それでも、
役員や株主が多い会社では、住民票や証明書を集める手間が減ります。
少しでも申請者の負担を減らせる制度なら、使えるものは使いたい。
私はそう思います。
ただし、
使える許可証なのか。
5年以内なのか。
許可証の一番下が「無」なのか。
原本証明をしたか。
予約時に先行許可を利用する旨を伝えたか。
このあたりは、しっかり確認しておきましょう。
そして実は、東京都にはもう一つ、
先行許可制度よりさらに強力に書類を省略できる方法
があります。
それが、
「同時申請」
です。
とはいえ、通常の申請で頻繁に使う制度というわけではありません。
では、どんなときに使えるのか。
そして、どこまで書類を省略できるのか。
次回は「同時申請による書類の省略」を見ていきたいと思います。
