【第43回】看板を出す前に知っておきたい!行政書士が解説する「屋外広告物許可申請」とは?

g-hirakawablog0043

新しくお店をオープンするとき。

事務所を移転するとき。

あるいは、古くなった看板を新しくするとき。

看板のデザインや大きさを考えるのは、なかなか楽しいものですよね。

「デザインも決まったし、あとは看板屋さんに取り付けてもらえば完成!」

ところが、ちょっと待ってください。

実は、看板を設置するためには、自治体の許可が必要になる場合があるのです。

今回は、行政書士の業務の一つである「屋外広告物許可申請」について、わかりやすくご紹介したいと思います。

1.そもそも「屋外広告物」とは?

屋外広告物というと、ビルの屋上に設置された大きな広告看板を想像される方も多いかもしれません。

しかし、それだけではありません。

例えば、次のようなものも屋外広告物に該当する場合があります。

  • 店舗の壁面に取り付ける看板
  • 建物の屋上に設置する広告塔
  • 道路沿いの独立した看板
  • 店頭に置く立て看板
  • 屋外に掲出するポスターやのぼり旗

屋外広告物法第2条では、屋外広告物について、常時または一定の期間継続して、屋外で公衆に表示されるものなどと定義しています。

つまり、営利目的の広告だけが規制対象になるわけではないということです。

自分のお店の名前を表示する看板であっても、屋外広告物に該当します。

ただし、屋外広告物に該当するからといって、すべての看板に許可申請が必要というわけではありません。

設置場所や広告物の種類、大きさなどによって、許可が必要かどうかが決まります。

2.なぜ看板を出すのに許可が必要なの?

屋外広告物を規制する主な目的は、次の2つです。

① 街の景観を守るため

例えば、美しい自然に囲まれた住宅地に、突然、巨大で派手な広告看板が設置されたらどうでしょうか。

周囲の景観と調和しないかもしれません。

歴史的な街並みや自然環境を守るためには、看板の大きさや設置場所などについて、一定のルールが必要になります。

② 公衆の安全を守るため

もう一つの目的は、安全の確保です。

看板は屋外に設置されるものですから、常に風雨にさらされています。

台風や地震などによって看板が落下したり、倒壊したりすれば、歩行者や車両に重大な危険が及ぶ可能性があります。

そのため、屋外広告物法や自治体の条例では、設置場所や構造、維持管理などについて規制が設けられています。

つまり、屋外広告物の規制には、街の景観と人々の安全を守るという大切な目的があるのです。

3.東京都内でも自治体によってルールが違う!

ここは、ぜひ知っておいていただきたいポイントです。

屋外広告物法は全国共通の法律ですが、具体的な規制内容は、都道府県や市などの条例によって定められています。

東京都では、原則として「東京都屋外広告物条例」が適用されます。

ところが、東京都内でも例外があります。

八王子市と町田市では、それぞれ独自の屋外広告物条例が制定されています。

つまり、同じ東京都内でも、設置する場所によって確認すべき条例や申請書類が異なるのです。

例えば、八王子市に看板を設置する場合には、八王子市屋外広告物条例に基づいて判断する必要があります。

八王子市では、一定規模以上の屋外広告物を設置する場合、市長の許可が必要となります。

また、広告物の設置が禁止される区域や、設置に関する基準なども定められています。

一方、東京都屋外広告物条例が適用される地域では、自己の店舗や事業所に設置する自家用広告物について、表示面積の合計が5平方メートル以下の場合など、一定の条件で許可申請が不要となる規定があります。

商業地域等では、この面積基準が10平方メートルとなる場合もあります。

ただし、許可が不要となる場合でも、設置基準などの確認は必要です。

このように、看板の許可申請は、設置場所によって判断が変わってくるのです。

4.看板のデザインを決める前に調査が必要!

例えば、こんなケースを考えてみましょう。

新しく飲食店をオープンすることになりました。

お店のロゴも完成し、看板のデザインも決まりました。

看板業者に製作を依頼し、完成を楽しみに待っていたところ……。

「この大きさでは設置できません」

と指摘されてしまったらどうでしょうか。

せっかく製作した看板を作り直すことになったり、店舗のオープンに間に合わなくなったりするかもしれません。

こうしたトラブルを避けるためには、看板の製作前に、設置場所の規制を確認することが重要です。

具体的には、

  • 設置場所が禁止区域や許可区域に該当するか
  • 看板の大きさや高さが基準に適合するか
  • 建物の壁面や屋上に設置できるか
  • 用途地域や景観に関する規制があるか
  • 許可申請が必要な広告物に該当するか

などを確認します。

看板のデザインを確定させる前に、こうした点を調べておくことが大切なのです。

5.高さ4メートルを超える看板には、別の手続きも?

さらに注意したいのが、大型の看板です。

実は、看板の設置には屋外広告物条例だけでなく、建築基準法や道路法など、ほかの法律が関係する場合もあります。

① 建築基準法に基づく工作物確認

例えば、高さが4メートルを超える広告板や広告塔などを設置する場合です。

このような看板では、建築基準法に基づく工作物の確認申請が必要になることがあります。

これは、看板の構造が安全基準に適合しているかを確認するための手続きです。

屋外広告物の許可を取得すれば、それだけですべての手続きが終わるとは限りません。

② 道路占用許可・道路使用許可

建物の壁面に取り付けた看板が、道路の上空にはみ出す場合もあります。

このような場合には、道路管理者による道路占用許可が必要になることがあります。

また、設置工事によって道路を使用する場合などには、警察署長による道路使用許可が必要になる場合もあります。

このように、看板を設置する際には、複数の法律や手続きが関係することがあるのです。

6.看板は設置したら終わりではありません

もう一つ、忘れてはいけないことがあります。

それは、看板の維持管理です。

屋外に設置された看板は、時間の経過とともに劣化していきます。

金属部分が錆びたり、固定しているボルトが緩んだりすることもあるでしょう。

看板が落下すれば、重大な事故につながる可能性があります。

そのため、屋外広告物については、安全点検や適正な維持管理が求められています。

また、許可を受けて設置した看板でも、許可期間が満了する場合には、継続のための手続きが必要になることがあります。

看板は、設置するときだけでなく、設置した後の管理も重要なのです。

7.行政書士がお手伝いできること

屋外広告物の許可申請は、単に申請書を作成して提出するだけの仕事ではありません。

まず、設置予定地の条例や規制内容を調査します。

そして、看板の大きさや設置方法が基準に適合しているかを確認します。

必要に応じて、自治体の担当窓口との事前相談を行い、看板業者様とも連携しながら手続きを進めていきます。

行政書士は、こうした許可申請に関する書類作成や提出代理などを行うことができます。

ただし、建築基準法に基づく工作物の確認申請など、別の資格者による対応が必要な業務については、適切な専門家との連携が必要です。

看板業者様が製作や施工を担当し、行政書士が許認可に関する調査や申請を担当する。

こうした役割分担によって、事業者様が安心して看板の設置を進められるようお手伝いできればと考えています。

まとめ:看板の設置は、製作前の確認が大切です!

新しく店舗をオープンするときや、事務所を移転するとき。

看板は、お客様にお店や事業所の存在を知っていただくための大切なものです。

しかし、看板には屋外広告物法や自治体の条例による規制があり、設置場所や大きさなどによっては許可申請が必要になります。

また、大型の看板では建築基準法など、ほかの法律が関係することもあります。

ですから、看板の製作や施工を進める前に、必要な許可や規制を確認しておくことが重要です。

平川行政書士事務所では、屋外広告物の設置に関する法令・条例の調査や、許可申請についてのご相談を承っております。

「新しく看板を設置したいけれど、許可が必要なのかわからない」

「店舗のオープンに合わせて手続きを進めたい」

「看板業者だが、許可申請の部分を行政書士に依頼したい」

そのような場合は、どうぞお気軽にご相談ください。

地域の皆様が安心して事業を始められるよう、行政書士としてお手伝いできればと思っています。


平川行政書士事務所

東京都八王子市

※本記事は2026年11月時点の法令・自治体の公表資料に基づいています。実際の申請では、設置場所に適用される最新の条例・規則等をご確認ください。

参考資料