第25回 同時申請とは?

sanpaiblog0025

前回は「先行許可制度」を見てきました。

今回は、さらに強力な書類省略の方法、

「同時申請」

について見ていきます。

今回も東京都の産業廃棄物収集運搬業許可申請を例にしていきましょう。

同時申請なんて、することあるの?

そう思いますよね。

確かに、普通に申請していると、そう何度も出会うものではありません。

でも、例えばこんな場合があります。

産業廃棄物収集運搬業の更新許可申請をするタイミングで、

「せっかくだから、取り扱える産廃の品目も増やしたい」

となった場合。

これは、

更新許可申請+変更許可申請

を同時に行うことになります。

たとえば、

「汚泥(○○に限る)」

と限定していたものについて、その限定を外したい場合などですね。

以前のブログでも触れましたが、産業廃棄物の種類を増やしたり、限定を解除したりする場合は、

「変更届」ではなく「変更許可申請」

です。

ここは間違えないようにしましょう。

「変更届」はまた別の話です

一方、

  • 車両を変更した
  • 役員が変わった
  • 所在地などに変更があった

といった場合は、基本的には「変更届」の話になります。

ただし東京都では、更新申請の際に車両や役員などの変更がある場合、変更事項確認書に記載することで、別途変更届を出さなくてもよい場合があります。

ここは自治体によって取扱いが違います。

産廃許可は全国同じ法律を使っているからといって、

申請実務まで全国一緒とは限りません。

ここが産廃許可の難しいところでもあります。

もう一つ、同時申請が考えられるケース

例えば一つの会社が、

産業廃棄物収集運搬業

特別管理産業廃棄物収集運搬業

の両方の許可を持っているケースです。

このような会社が、それぞれについて変更許可申請などを同時に行う場合にも、同時申請による書類省略を利用できます。

東京都の手引きにも、

「更新許可申請と変更許可申請」

「産業廃棄物収集運搬業変更許可申請と特別管理産業廃棄物収集運搬業変更許可申請」

などが例として示されています。

では、何を省略できるのでしょう?

ここからがすごいところです。

前回の「先行許可制度」では、省略できる書類はそれほど多くありませんでした。

しかし、

同時申請は先行許可の比ではありません。

法人の場合、共通している次のような書類を、一方の申請書では省略できます。

  1. 重複する運搬車両の写真
  2. 事業の開始に要する資金の総額及びその資金の調達方法
  3. 誓約書
  4. 定款の写し
  5. 申請法人の履歴事項全部証明書
  6. 5%以上の法人株主等の履歴事項全部証明書
  7. 役員等の住民票
  8. 成年被後見人等に該当しない旨の登記事項証明書等
  9. 直近3年分の決算関係書類
  10. 法人税の納税証明書
  11. 重複する自動車検査証または自動車検査証記録事項の写し
  12. 先行許可制度を利用する場合の申請書第1面~第3面及び先行許可証の写し

船舶を使用している場合には、重複する運搬船舶の使用権原を証明する書類も省略対象になります。

いやいや、

ごっそり省略できますね。

でも、考えてみれば当然ですよね

だって、

今、同じ東京都に、同じ申請者が、同じ日に申請する

わけです。

役員も同じ。

会社も同じ。

決算書も同じ。

納税証明書も同じ。

車両も同じなら車検証記録事項も同じ。

一つ目の申請書に全部入っているのに、

二つ目にもまったく同じものをもう一組入れる。

確かに、それはちょっと無駄ですよね。

だから共通する書類については、

「こちらの申請書に入っていますので、もう一方は省略します」

ということが認められているわけです。

本当に申請書が「ぺらっぺら」になります

実際に同時申請を組むと、

一方には通常どおり添付書類がぎっしり。

そしてもう一方は、

びっくりするくらい薄くなります。

産廃の許可申請書といえば、決算書、住民票、登記事項証明書、車検証記録事項などを含めると、かなりの厚さになります。

それがごっそりなくなる。

これはなかなか気持ちがいいです(笑)。

ただし、何でも省略できるわけではありません

当然ですが、

それぞれの申請について個別に審査しなければならない部分

は省略できません。

例えば、

  • 許可申請書 第1面~第3面
  • 変更事項確認書
  • 新旧役員等対照表
  • 事業計画の概要
  • 必要な運搬容器等の写真
  • 更新申請の場合の旧許可証の写し

などです。

まぁ、ここは当然ですよね。

それぞれ、

「何の許可を申請しているのか」

「今回、何を変更するのか」

を審査するための書類ですから、共通だから省略、というわけにはいきません。

忘れてはいけない「省略書類一覧表」

そして実務上、もう一つ大切なポイントがあります。

書類を省略した方の申請書には、

「省略書類一覧表」

を添付します。

様式は任意です。

つまり、

「この申請書では、これとこれとこれを同時申請により省略しています」

ということを分かるようにしておくわけです。東京都の手引きにも、この一覧表を添付するよう明記されています。

また、東京都では同時に複数の申請をする場合、予約時にその旨を申し出ることになっています。

同時申請は、使える場面ならかなり強力!

正直なところ、

同時申請を使う場面は、それほど頻繁にはありません。

でも条件が揃ったときには、

先行許可制度よりはるかに多くの書類を省略できます。

しかも、

別の自治体で以前審査されたから省略する、という話ではありません。

まさに今、東京都で、同じ申請者について二つの審査を同時にしている。

だからこそ、ここまで大胆に共通書類を省略できるわけですね。

産廃許可申請では、

ただ必要書類を全部集めればいいわけではありません。

「この申請なら、どの制度を利用すれば依頼者の負担を減らせるか」

そこまで考えるのも、許可申請実務の面白いところだと思います。